ブリューパブ大曽根でビールを飲みながらスケッチしたら、下手でも笑える魔法があった

土日の昼の楽しみといえば、ここ最近は決まっている。
外に出た瞬間に「今日は家でいいや」と言いたくなるほどの猛暑。

それでも僕はふらふらと大曽根商店街へ。汗でシャツは背中に貼りつき、体力ゲージはすでに赤点滅ゾーンに突入だ。

たどり着いたのは「ブリューパブ大曽根」。午後1時のオープンに合わせて、用事を片付けて駆け込む。

扉を開けた瞬間、冷房の風が顔にぶつかってきた。

——ああ、ここは天国だったのか。冷気の羽根がぶわっと舞う。正直、もうこのままここでお昼寝したい。

黄金のハイウェイ

最初に頼んだのは「Route66」

名前を聞いただけでどこか旅に出た気分になる。ウエストコーストIPAという、アメリカっぽい香りのするビールなんだよね。

グラスの中は深みがかかった、ちょっと赤っぽいイギリスのエールのような色合い。のぞきこめば、確かに爽快な世界へのハイウェイが伸びている。

ごくっと一口。

苦味がドン、と広がり、そのあとに柑橘の風がビューッと駆け抜ける。

熱にやられていた体が勝手に叫ぶ。

「これだよ、これ!」

僕のうなり声がもしかしたらお店に響いていたかもしれない(笑)隣の席の人に変な顔をされていなかったことを祈るね。

つまみに頼んだのは夏野菜のオイルパスタ。
ここのパスタは、絶対にハズレがないんだよね。

もちっとした麺にガーリックが効いていて、どう考えても「ビールをもっと飲め」と言っている。
気づいたら大サイズで頼んだ1パイントが空っぽ。蒸発した? いや違う、犯人は僕だ

魔法が走らせる線

ここでノートを開く。ビールを飲むだけじゃ、せっかくの休みの午後がもったいないからね。

最近は毎日最低一枚、スケッチを描くと決めているんだ。

まずは手元のグラス。線を走らせる。

……あれ? どう見てもバケツ

「おい、なんでこうなるんだ」って自分でツッコむ。まだ酔ってないだろ(笑)

二口ビールを飲んで線を足すと、不思議なことに少しだけグラスに見えてくる。
三口目を飲んだ頃には「まあ味がある線だよね」と納得しはじめる。

これがビールの魔法。誤魔化し力+2、自己肯定+3

もう、なんだかパリのカフェで優雅な時間を楽しむアーティスト気取りである。

1か月前と今日

1か月前、同じ席で、同じグラスを描いたのを思い出した。

あのときは下手さに打ちのめされて、秒でノートを閉じた。

でも、今日は違う。ノートは閉じない。納得いくまで描き切ってやる。

ヨレヨレの線を足していけば、なんかそれっぽい絵になることが分かってきたからね。ひたすら線を書いて、思いどおりの絵になるまで描き続けるんだ。

もはや、影なんだか線を描きすぎて真っ黒になったのか分からなくなってきた。

そして、ここで「Future Treesください!1パイントで!」。もちろん、ビールは忘れない。

たっぷり飲んで描いて満足の午後

午後の時間は、気づけばビールとヨレヨレの線に溶けていった。

ノートを閉じながら思う。
——何も整ってない。何も達成してない。ただビールを飲んだだけ。でも不思議と満ちている。

ビールの魔法は、ヨレヨレの線もこのブログの駄文も「今日の作品」に変えてくれる(はず)。

大曽根商店街の炎天下と、パブの冷房のあいだにある小さな天国。
ここで飲んで描いて笑った。
それだけで十分。乾杯。🍺

2025-08-25|タグ:
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