【己書】先生のひとことで、筆が走り出した。──“書けるかも”と思えた、あの日の幸座

ふわりと風が起きた。
自分で描いたウチワを仰いでみる。アサガオはちょっと黒ずんでるし、風鈴はなぜかやたらとデカい。でも、風がちゃんと吹いた。その瞬間、思わず笑ってしまった。

──ついに、手応えを感じたんだ。

己書を始めて1ヶ月と少し。筆に“芯”が入りはじめた

己書を始めて、1ヶ月とちょっと。
これが4回目の幸座(講座)。
最初のころは「筆ってこんなに暴れるの?」とビビりながら書いてたけど、今は違う。

力を入れるときはグッと入れる。
抜くときはスーッと脱力。
線にメリハリが生まれてきて、文字が少しずつ「書」らしくなってきた。

あ、この感じだ。体の奥で「コツン」と響くような、あの手応え。

先生のひとことが、僕の視点を変えた

先生が何気なく言った言葉が、今日のハイライトだった。

「上手に書く人ってね、サクサク書いてるように見えて、実は全体をしっかり見てるの。筆を下ろす前から、どう書き終えるかを意識してるんだよ」

はっきり言って、衝撃だった。
僕がずっと集中していたのは、「線をなぞること」だった。
でも先生が見てるのは、「一枚の作品としてのバランス」だったんだ。

書くのは線じゃない。「自分」なんだ

全体を見渡して、筆をどこに置くか、どう終わらせるかを意識する。
それを意識して書いたとき、不思議なくらい、書き終えたときの満足感が違った。

それからは、線の強弱にも少しずつ意識が向くようになった。
太く、力強く。
細く、やわらかく。
まだまだ線はフニャフニャだし、お手本どおりとは言い難いけど…

「この文字、主役にしたい!」って思って書けるようになった。
つまり、僕の中に「己」が動き出したってことなんだ。

これが「己書」なんだね。
自分が書きたいように書くから、己書。

先生の“ほめ力”がすごい。書きたくなる

それにしても…
褒められるって、最高だな(笑)

先生がまた上手に褒めてくれるんだ。
「いいじゃん!」ってニッコリされると、気づけば夢中で何枚も書いてる。

いいおっさんが、先生に褒められたくて黙々と書いてるって…
もう、なんか笑えてくるよね。

夏の風物詩が、僕の筆から生まれた

そして今日のハイライトはこれ。
夏の特別企画──ウチワ作り!

水彩で描いたのは、アサガオ、ヒマワリ、そして風鈴。
やっぱり絵を描くのは楽しい。筆を握ってる時間は、ちょっと時間が止まったみたいだった。

先生が僕のウチワを見て、ぽつり。

「風鈴、大きすぎてどうなるかと思った〜」

…たしかに(笑)
ドーンと風鈴、主張強めすぎ。
アサガオもちょっと黒っぽくなって、爽やかさに欠けるけど…

でも、自分の手で描いたウチワで風を送ると、めちゃくちゃ気持ちいい。
うまい下手じゃなくて、“自分で作った風”ってとこがたまらない。

筆の先で“自分の世界”を描いていく

教え上手な先生のおかげで、己書は着実に上達してきてる。
次の目標は、水彩画のレベルアップ。

今日も、水の加減が難しかった。
ちょっと気を抜くと、ビチャッと水たまりになったり、逆にかすれたり。
まだまだ思い通りには描けないけど…

水彩が自在に描けるようになったら、きっと表現の幅がグンと広がる。

夜な夜な描く日々へ。僕の風は、これからだ

だから、決めた。
夜な夜な、描く。筆を持つ。

寝る前にウチワを仰いで、
「今日も風、起きたな」ってニヤけるような毎日をつくっていこうと思う。

あなたの中の“己”は、どんな風を起こす?

2025-07-19|タグ:
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