
水彩って、描くことそのものより、始めるまでがめんどくさいんだよね。
パレットを出して、バケツに水を入れて、筆を並べて、机が濡れないように新聞紙を敷いて――。そこまでやって、ようやくスタート。
えっ、ズボラな僕がそんなことするのかって?
無理無理。
深夜の己書自主トレで、準備に時間をかけていたら本末転倒。いつも眠たい顔してる僕に、そんな余力はありません(笑)
とはいえ、水彩っぽい表現はやりたい。ふわっとにじむ感じには憧れる。
でも、準備が重い。
そんなふうに思っていたとき、幸座(講座)で先生が教えてくれたのが、水彩色鉛筆だった。
ズボラにも届く、二刀流の道具

水彩色鉛筆は、ふつうの色鉛筆みたいにそのまま描ける。しかも、水を含ませると水彩のような表現までできる。
つまり、ズボラな僕にも手が届く二刀流である。
これはいいかもしれない。そう思って、パルコ南館の世界堂で買ってきた。
選んだのは、ファーバーカステルのアルブレヒト・デューラー。「プロ向け」と書かれた、なかなか立派なやつ。
他のものより値段が倍ぐらい高い。とはいえ、そもそも色鉛筆だから、手が出ないほどではない。
どうせやるなら、ちゃんとしたものを使いたい。「本気で頑張れよ」と自分に発破をかける意味でも、この12色に賭けてみた。

深い緑色の缶を開ける。
整然と並んだ12色は、それだけでちょっと気分が上がる。
ただ、見た目はあくまで色鉛筆。
ハガキに塗ってみても、最初はやっぱり色鉛筆である。
ここでズボラ人間向け秘密兵器を投入

ここで、もうひとつの秘密兵器を投入する。
水筆だ。
筆の持ち手の中に水を入れられる、タンク付きの筆。
これ一本あれば、わざわざ水を用意しなくてもいい。
ああ、こういうのを待っていた。ズボラな僕のためにあるような道具である。
色鉛筆の線が、すっとほどける

使い方は簡単。
まずは色鉛筆で、色をのせたいところを描く。
このときは、「あとで水でどうにかなる」と思わず、色鉛筆だけで仕留めるつもりで塗ったほうがいい。
そのあと、水筆でなぞる。

すると、さっきまで色鉛筆だった線が、すっとほどける。
ガサッとしていた色が、じわっとやわらかく広がっていく。
おお、ちゃんと水彩っぽい。
しかも、紙の上でそのまま色が混ざる。
✅パレットはいらない。
✅バケツもいらない。
✅新聞紙もいらない。
なんて楽なんだ。
家ではめんどくさくて手が伸びなかった水彩が、これなら、ボールペンで落書きするくらいの気軽さで始められる。
苦手だったのは、水彩じゃなくて準備だった

水彩が苦手だったというより、僕が苦手だったのは、あの準備の重さだったのかもしれない。
そう考えると、ちょっと救われる。
やりたい気持ちはあるのに、準備がめんどくさくて続かない。そんな人には、水彩色鉛筆と水筆の組み合わせはかなりいいと思う。
特に、己書みたいに、筆文字や絵にちょっと色を添えたいくらいの場面にはちょうどいい。
道具が少なくてすむし、始めるまでのハードルがぐっと下がる。
本格的な水彩絵の具とはまた違うよさだけど、思っていた以上にちゃんと水彩らしい表情も出る。
僕には、これで十分だった。
水彩を好きになれそうな気がする。
いや、もしかしたらもう、水彩沼の入り口に来ているのかもしれないね。










