
朝起きると、口の周りに吹き出物ができていた。
あぁ、これは体が悲鳴を上げているやつだ。
20キロを中2日で2度走るのは、今の僕には無茶だったらしい。脚と腰には疲れが残っている。体も重い。もうそんなに若くはない。
今日は休むべきかな。
って、やかましいわ!(笑)
20キロを楽勝で走りきれなくて、「ガチランナー」を名乗るとはカッコ悪すぎる。
ここで手を抜くから、僕はいつまでたってもド底辺ランナーのままなんだよ。そんなことに、こないだようやく気づいた。
てなわけで、走り出す。
今日はイージーモードのはずだった

もちろん、無理は禁物。ケガへ一直線コースに足を踏み込んでいたからね。
今日はイージーモード。1時間ゆっくり7キロコース。
いつもの矢田川は、あいかわらず走りやすかった。
GWだからか、初夏の日差しを楽しむランナーがあちこちにいる。川面にきらめく光が、黄金色のシャワーのように輝いていた。
こういう景色を見ると、休まなくてよかったと思ってしまう。

ランニングはざっくり言うと、2つのトレーニングで走力が伸びていく。
☝️ひとつは、ゆっくり長く走ること。
☝️もうひとつは、速く短く走ること。
つまり、ロングジョグとダッシュ。
ゆっくり長く走る日にダッシュを入れると、ダメージが大きくなる。だけど、1時間くらいのジョグなら、間に一発だけムチを入れると短い時間でも走力に刺激が入る。
時間がなくて、ダメージも抑えたい時は、この走り方が一番効くと感じている。
ムチを一発入れる

3キロ過ぎ。
足がクルクルと気持ちよく回るようになってきた。
よし。
ムチを一発!
心拍数をマックス手前の170まで上げる。
走っているというより、体がグイグイ前に押し出されていく。頭の中が白くなる。景色の輪郭が薄くなる。自分の呼吸と足音だけが、やけにはっきり聞こえる。

500メートルほどダッシュすると、心拍数は175を超えていた。
上出来。
スピードを緩めて、ジョグに戻す。今日もいい走りができた。
そう思った。
なんか、物足りない

……思ったんだけど。
なんか、物足りないんだよね。気持ちがドンドン前へ進む。体もそれにつられて、勝手にスピードを上げていく。
いかんいかん。
無理は禁物と言ったじゃないか。今日はイージーモード。一発だけムチを入れる日。ちゃんと分かっている。頭では、かなり分かっている。
けれど、そんな言うことを聞くような自分なら、もっとまともな人生送ってます(笑)

結局、帰り道はずっとスプリントして走っていた。
あぁぁ、なんて気持ちいいランニングなんだ。
景色が後ろに流れていく。自分だけが止まっていて、世界のほうが動いているような感覚になる。疲れていたはずの体が、どこか別のエンジンに切り替わったみたいだった。
こういう調子に乗っちゃう瞬間があるから、ランニングは困る。
苦しいのに、気持ちいい。
やめるべきなのに、進みたくなる。
こうして、ランナーは作られていく

家に帰って、シャワーを浴びる。
あれ?
脚が重い。
腰も重い。
すげー眠い。
あかん。
やっぱりムチは一発にすべきだったか。ゆっくりでいいっていう時にかぎって、調子こいて速く走っちゃう。
計画通りに淡々と強くなるより、気持ちよさに引っ張られて、少しだけやりすぎて、翌朝に反省する。
こうして、ガチランナーは作られていくのです(笑)




