ついに、こだわりの自転車をあきらめて、新しいのを買った。
これまで8年間、ブロンプトンというイギリスの折り畳み自転車を愛用していた。
いわゆる、こだわりの塊のような自転車である。
こいつがすごいんだ。
10秒程度で折り畳みできて、乗り味も小径車とは思えないロードレーサーのような滑らかさ。
通勤はもちろん、休みの日には輪行であちこち日帰り旅行を楽しんでいたりもした。

こだわりは、普段使いだと手強い
……ただ、こだわりの自転車って、普段使いだと扱いが難しい。
どこかキーキー鳴り出して、「よし直すか」と思うじゃん。パーツを取り替えようとすると、これが大変なんだ。
あらゆるパーツがブロンプトン社謹製の特別仕様。すぐには手に入らない。
パーツを手に入れるまで、不具合を抱えたまましばらく乗り続けないといけない。
パンクは、心が折れるスイッチ

そして一番困るのが、パンクした時。
小径車ってタイヤの回転が早い。その分、消耗も早い。ブロンプトンもよくパンクをするんだ。
パンクしたらもう最悪。
自分で直してる時間がないから、街の自転車屋さんに持って行く。特殊なサイズのタイヤは置いてないから、「修理できるのは1週間後ですね」と言われる。
修理してもらえるなら御の字で、ブロンプトンだと断られることすらある。
仕事へ行く前のパンク。もうダメだ
実は、こないだパンクした。
仕事へ行く時に。
不幸中の幸いだったのは、家を出てすぐだったことだ。タイヤの違和感に気づいて、「うわ、これヤバい」と思った瞬間、空気が抜けていく気配。
僕は自転車を置いて、駅まで走った。急いで走って、なんとか事なきを得た。
そこで、心の中で何かが折れた。
もう、あきらめた。
道具は“すぐ直せる”が正義
やっぱり、普段使う道具って簡単に直せるのが一番なんだよ。
ブロンプトンは現役引退。パンクはいつか修理するとしよう。車の中に入れておいて、出先で移動する時にでも使う。
んで、普段の移動はママチャリにする。
街の自転車屋さんで買うママチャリなら、修理もすぐにしてもらえる。
なんなら、安いママチャリに買い替えたっていい。これで修理の煩わしさから解放される。あぁ、なんだか気が楽になってきた。
「これでいいです」即決の店内

思いたったら吉日とばかり、自転車屋さんに直行した。向かったのは、徳川町に昨年できたばかりの「サイクルベースあさひ」。
店頭に並んでる自転車を指差して、
「これください」

僕の即断ぶりに、お店の方が念押しする。
「これで……いいんですね?」
いいんです。むしろ、それがいい。
こだわりなんて1ミリもなし。いや、あるとするなら、「一番普通のを選ぶ」ってことかな。
“変速なし”という、静かなこだわり

買った自転車は、名前なんて分からない「ザ・ママチャリ」。男性向けなのかな。直線的で、少し大柄な印象。
そうそう、唯一こだわったのが、あえて変速機のないものを選んだこと。
自転車って、たいがい変速機から調子が悪くなっていく。
僕は速さを求めていないし、大曽根にキツい坂はない。変速機は必要ない。必要がなくて壊れやすいなら、いらないってわけ。
シンプルは美しい、そして軽い

手に入れた自転車を見てみる。
美しいね。
シンプルの極み。余分なものも、足りないものもない。移動するための、究極のツールと言っていいんじゃないかな。
もちろん、買ったばかりだから乗り味は、絹の肌着を着たようにスルスルっと軽い。
こだわりって、いつしか重しになるのかな。
何にもこだわりのない自転車に乗ってると、重しが取れて心も軽くなる。ペダルも軽いしね。
整備はプロに任せる時代へ

6ヶ月ごとに点検をして、月に1度タイヤに空気を入れればいいとお店の方が教えてくれた。
自転車は点検と整備を怠らなければ、スムーズな乗り味をずっと保っていられる。
僕のママチャリ生活が始まった。









