毎月第2・第3金曜は己書の日。展覧会で心を奪われた“月夜”のハガキを先生が覚えていて、今回はその絵をお題に用意してくれていた。
水と筆ペンで生まれる淡いグレーに驚きつつ、「Be water, my friend.」の言葉がふっと腑に落ちた午後の記録。
展覧会のハガキから始まった

いつもお世話になっている大曽根商店街の「喫茶はじまり」へ。
こないだの展覧会では、師範の方が来場者プレゼント用に直筆のハガキを描いてくれていた。僕は夜空に月が浮かぶドラマチックな一枚に引き込まれた。
迷わずそのハガキを選んだ。そしたら先生はそれを覚えていて、今回、その絵をお題に用意してくれていたんだ。
他にも、ススキが揺れる寂しげな絵に惹かれた話をしていたら、その絵までお題に。ここまでオーダーメイドで好みに寄り添ってもらえるなんて、うれしすぎた。
水と筆ペンの魔法

さて、先生の手ほどきを受けて描いてみる。
己書の幸座(講座)を受けるたび、目からウロコの発見が必ずある。今回もあった。
筆ペンは“黒を塗るだけの道具”じゃなかった。
水で濡らしたところに筆ペンを乗せると、じわっとにじんで淡いグレーのグラデーションができあがる。
なるほど、あの印象的で切ないグレーは、こうして生まれていたのか。……とはいえ、僕は触りすぎて真っ黒にしてしまったけどね(笑)
“Be water, my friend.” が腑に落ちた

流れる水を自由にコントロールして思いどおりの絵を描く――まるでブルース・リーみたいだと思った。
「Be water, my friend.」って名言、あるじゃん。
あれを思い出しちゃったんだよね。水のようにしなやかに、それでいて力強く表現する。
僕もそんなふうに描きたい、って素直に思った。
要は“水になれ”ってこと。
伝説の武道家ブルース・リーが言ったこの言葉、カッコいいだけじゃなくて本質突いてる。水はカップに入ればカップの形になるし、流れもするし、時には岩だって砕いちゃう。
つまり、状況に合わせて柔軟に順応しろよって話。困難にガチガチになるんじゃなくて、空っぽになって本質をつかめっていうメッセージ。今回のにじみや筆運びの中で、それがちょっと分かった気がするんだよね。
100均の硬い筆にも出番がある

他にも、100均で売っているゴワゴワした硬い筆にだって使い道がある。
草や木、岩肌みたいな“自然の質感”を出すのに最適。豪快に置いた筆致が、妙に風景を生かしてくれる。
今日の仕上がりと余韻

今日も、自分なりに上手く描けた。望遠レンズで覗いたようなお月様が、少し幻想的な雰囲気をまとってくれた気がする。
己書の世界というか、水彩の奥深さには毎回やられっぱなし。来週はどんな発見があるのか、今から楽しみだ。
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