
酒粕をたくさん手に入れたはいいものの、使い切れなくて困ったことはないかな?
粕汁、甘酒、味噌汁。どれも美味しい。とはいえ、毎回それだと少し飽きてくる。冷蔵庫の中で酒粕がどーんと場所を取っていると、「さて、次はどうしたものか」と頭を抱えたくもなる。
まさに今の僕がその状態だった。
こないだの金虎「桃虎祭2026」でゲットしてきた酒粕の山、1.76キロ。
食べても食べても減っていく気配がない。
そりゃそうだ。料理に使ったとしても、だいたい大さじ1杯程度。20グラムだとしたら、88回分の料理に相当する。毎日料理に使っても、3ヶ月近くかかる計算である。
冷蔵庫の中では、酒粕が1フロアをどーんと占領している。なんだか他の食料たちが隅に追いやられて、「新参者が偉そうに……」ってこぼしてるみたいだね。
このままチビチビ使っていたら、そのうち暑くなって傷んでしまうかもしれない。
酒粕を豪快に使うなら

んなわけで、もっと豪快に酒粕を使える料理はないかと考えて、思いついたのがタンドリーチキンだった。
タンドリーチキンといえば、ヨーグルト入りの漬けダレで肉を漬け込んで焼く料理。あのヨーグルトを酒粕に丸っと置き換えてみようって作戦である。
とはいえ、作る前には不安もあった。
カレーと酒粕って、そもそも合うのだろうか。

もし相性がぴったりなら、とっくにどこかが商品化していて、「酒粕カレー」なんてものが世の中に出回っていてもおかしくない。それが見当たらないってことは、もしかして相反する味なのかな、なんて思ったんだよね。
一方で、いけるかもしれないという期待もあった。
ヨーグルトも酒粕も、どちらも発酵の力をまとった食べ物だ。元が牛乳か米かの違いなだけで、これは案外すんなりハマるんじゃないか、と。
漬けダレ作って肉と野菜を入れて焼くだけ

レシピはこんな感じ。
- まずは漬けダレを作る。酒粕大さじ3をボウルにぶち込み、カレー粉大さじ1、ケチャップ、おろしニンニク、おろしショウガ、塩コショウを適当に加える。
- ダマがなくなるまで混ぜる。酒粕は最初なかなか緩くならないので、水を少し加えてつぶすように混ぜるといい。
- 鶏もも肉2枚を一口大に切って、野菜も適当に加えて混ぜる。1時間以上、冷蔵庫に入れてなじませる。
- トレーにクッキングシートを敷き、肉と野菜をぶちまける。220度のオーブンで15分焼けば完成!

要は、漬けダレを作って肉と野菜を混ぜて、オーブンで焼くだけ。
焼いてる間は他の料理を作っていればいいから、手間もかからずかなり楽なんだよね。
カレーの香りの向こう側

そろそろ焼けてきた。
家の中にはカレーの香りが充満していて、食欲爆発モードに突入である。
オーブンを開けてみると、中までしっかり火が入りつつも、焦げ焦げにはなっていない。焼き色もいい感じ。香りはやっぱりカレーが主役だ。
ただ、注意して嗅いでみると、カレーの奥から酒粕の甘い香りがふわっと顔を出してくる。
「あっ、ちゃんといるな」
酒粕が完全に消えていたらどうしようかと思っていたから、ちょっとホッとしたね。
まずはタンドリーチキン、そして後から酒粕

さて、いよいよお待ちかねのディナーである。
焼き上がったタンドリーチキンをパクリ。
……うん、まず来たのは、いつものタンドリーチキンの美味しさだった。
カレーの香ばしさと、鶏肉からにじみ出す肉の旨みが合わさって、安定感抜群。ちゃんとタンドリーチキンとして成立している。
ヨーグルトが入っていない分、いつものような爽やかな酸味はない。
ところが、その欠けたぶんを埋めるように、後ろから別の味が押し寄せてきた。
酒粕の甘みだ。
イチゴみたいな華やかな甘みが、カレーの向こう側からじわっと立ち上がってくる。
「これってもしかして、インドの宮廷料理なんちゃう?」
そんなことを思ってしまうくらい、ちょっと上品な味わいになっていた。
妻も最初は気づかなかった

一緒に食べていた妻は、いつもは味にうるさいグルメ人間なのに、「え? 本当に酒粕入ってるの?」って気づかないご様子。
僕が「カレーの向こう側を感じてごらん」と言うと、「たしかに酒粕だね」と、ようやく気づいていた。
なるほど。主役の座を奪うほどではない。でも、ちゃんと奥にいる。そんな出方をするわけだ。
もしかして「名古屋城」の酒粕では?

ここで、ふと思ったんだ。
これ、もしかして金虎さんが詰め放題で用意してくれた酒粕って、一番高い「名古屋城」のやつなんじゃないかって。
スーパーで売ってる酒粕にも、甘みや旨みはある。そこはちゃんと美味しい。
ただ、華やかさはないんだよね。
そこが、今回の酒粕とは決定的に違った。
酒粕の袋を開けるたびに、ふんわりと立ちのぼるイチゴの香り。飲んでもいないのに、大吟醸の世界に浸っているみたいだった。
目の前にあるのは、酒粕の白い塊である。
なのに、僕の頭の中に浮かんでいるのは、黒いビンに金色で箔押しされた大吟醸「名古屋城」なんだよね。
酒粕の山が、贅沢の山に見えてきた

今まで僕は、この酒粕を「なんとか食べ切らなきゃいけない大量の食材」として見ていた。
いやいや、それは違うのかも。大吟醸の香りと共に楽しむ贅沢な時間なんじゃないかと。
ディナーを終えて、残った酒粕を見てみる。
「あれ、本当に使ってる?」
そう言いたくなるくらい、重さはほとんど変わっていない。
けれど、見方は少し変わった。
さあ、明日もまた贅沢を味わうとしますか。
金虎さんがくれた、夢の時間ってことでね。
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