
大曽根には、ほっこり暖かくなるようなマルシェがある。
毎月1日は、大曽根商店街で「はじまるマルシェ」が開かれる日。
3月1日。
「3月になったから、今日から春ですよ」って感じで、思わず外に出て飛び出したくなる陽気。
商店街に行くと、小さなマルシェが始まっていた。
テント10張りと、子どもの声と、いつもの空気

おでん、焼き菓子、雑貨、温熱治療などのテントが10張り。
モルックで楽しむ子どもたちの声も聞こえてくる。
いつものまったりとしたマルシェ。お店を一軒ずつのぞいて見て回ると、あれ?見たことあるポストカードが飾ってあった。

青が鮮やかなチーズケーキと、商店街の街並みを描いたスケッチ。
声をかけるのが怖い。でも、それじゃ世界は広がらない

「これ、買いましたよ」とお店の方に話してみようと思った。
でもね、ちょっとだけ戸惑った。
純粋に商店街のために頑張ってる人に、僕みたいな呑んだくれのおっさんが話していいものかと。
実は僕、人見知りだ。知らない人に話しかけるのが怖くてたまらない。できることなら一人でいたい。
でも、それでは世界は広がらない。
だから、思い切って話しかけてみた。
「話してよかったよ」って、こういう時に言うんだな

話してよかったよ。
「描いたのはリトルさんですよ」って。
なんと、描いた方がマルシェに来ているとのこと。その方を呼んでくれて、お話をさせていただくことになった。
独学で絵を描いているというリトルさん。なんと個展も開いているという。
原画を見せてもらった。

取り出したのは、文具店で普通に売っているA5サイズの方眼紙のノート。
絵を描くための特別なスケッチブックに描いているわけではなかった。
ボールペンでササッと、気の向くまま描いてるような画風。
ペンで軽やかに描き、見せたい部分だけ簡単に色を乗せる。描きたい!っていう気持ちがストレートに表れているようなスケッチ。
「描かない」っていう選択が、絵を強くする
ほんとは、ディテールを全部描いて、色も全て塗ろうと思ってたそう。
でも、周りから「それでいいよ」との声があって、あえて上下に余白を残す絵になったというお話だった。
僕も、あえて描かない方に賛成だね。余白を残すと、見せたい部分に視線が集まるし、全部描くとキリがないから(笑)
やる気に満ちあふれた若者が描く商店街。もっと見てみたいね。
小腹が鳴ったら、やさしいおやつへ

さて、小腹も空いてきたし、ちょっと何かをつまんでみよう。
「神ちゃん食堂」というお店の焼き菓子屋が気になった。
お店の方にこだわりを聞いてみると、アレルギーを起こしがちな小麦、卵、乳製品を使わずに作ってるのだとか。
オススメしてくれたキャロットケーキをいただくことに。
「スパイスは大丈夫ですか?」とお店の方。もちろん大丈夫。むしろ、スパイスが入ってるとか期待大じゃん。
袋を開けた瞬間、シナモンがふわっと立った

袋を開けた瞬間、シナモンがふわっと立った。
一口パクリと。
シナモンの上品さが駆け抜けていく。
ナッツのコリッとした歯応えのあとに、しっとりと深みのあるケーキの柔らかさ。そして、無農薬だというニンジンの、土を感じる深い甘さが広がっていく。
看板に書いてあったとおりの「やさ(し)いおやつ」だった。
小さなマルシェの中に、こだわりが詰まってる

小さなマルシェだからと言ってあなどってはいけないよ。
大曽根商店街の毎月1日は、こだわりが凝縮されたお店が出るからね。
春の暖かさの中、もう来月の1日が楽しみになっている自分がいた。
今日の余白が、来月の1日まで僕を暖める。










