
「島ぞうりミステリー」を解き明かす。僕のランナー人生に新たな目標が生まれた瞬間であった。
名古屋シティマラソンから中1日。もうやばい、走りたくてウズウズしている。
朝、目を覚ます。体のどこにも痛みはない。正直に言うと、張りはバキバキにあるけどね。
「回復力あるじゃん、まだまだ全然若いよ」
なんてベッドでニヤニヤしてたりする(笑)
実は、確かめてみたいことがあるんだ。
心拍数の常識が、島ぞうりだと通用しない

島ぞうりを履いて走ると、シューズで走る時と全然違う感覚になる。
シューズだと、心拍数とスピードは比例していく。心臓がバクバクすれば、それだけ速くなる。これが普通だと思っていた。
ところが、島ぞうりだと、その方程式は通用しない。
ジョギングの心拍数のまま、かなりのスピードまで上げられるんだ。僕の場合なら、キロ5分を切るくらいまでジョギングよりちょっと高いくらいの心拍数のまま。キロ5分というと、ママチャリでスピードに乗って走ってる時と同じくらい。つまり、かなり速い。
そのスピードを超えると、さすがに心拍数は一気に跳ね上がっていく。
こんな感覚になるのは、島ぞうりだけなんだよね。
名古屋シティを終えた僕の目標は、この一点に定まった。
この謎を解くことである。
黄金の矢田川で、フォームを確かめる

いつもの矢田川へと走り出した。日差しは完全に春の陽気だけど、風は冬の冷たさのまま。
相変わらず、矢田川の川面は陽の光を反射して黄金色に輝いていた。
島ぞうりミステリー解決のカギを握るのは、たぶんフォームだと思っている。フォームが理にかなったものになるから、体の力をうまく使って走れるようになるのだと。
まずは、ゆっくりと走る。心拍数は120。この間に下から順番にフォームを確かめていく。
指の先を地面に突き刺すような感覚で着地する。着地の瞬間、足の指で地球をつかむ。腰を前に突き出して、体は弓なりに。僕は矢になる。アキレス腱から背中まで、引き絞った弓を一気に解き放つ。
その先にある、自分だけのランニングの世界

ここまで終えると、自分だけのランニングの世界が待っている。
足が自転車のタイヤのようにクルクルと周り、景色は一瞬で流れていく。
僕の視界に見えているのは、はるか遠くの一点だけ。その点に向けて、ただひたすら体をフル回転させている。
もう、気持ちいいんだ。
僕は孫正義さんの、あの名言を思い出した。
「髪の毛が後退しているのではない。私が前進しているのである」
髪の毛すら置き去りにして、前へと進んでいくこのパワー。孫さんが仰りたかった意味が分かった気がするんだ。
「全力で生きてる!」って感じがする。矢田川の流れや暖かな日差しがパワーを与えてくれる。魂がビートに乗って突き抜けていくんだ。
これ以上の快感って他にある?しかも、ほとんどタダ。
でも、ゾーンは長くは続かない

なんて、いいことばっか書いたけど、ゾーンに入っていられるのは短い間だけ。
キロ5分で走り続けられるなら、最初から走ってるって(笑)
筋力不足と体重オーバーは明白。あっという間に体中が悲鳴をあげてスピードダウンしてしまう。
それも「良し」としよう。
謎はまだ途中。だからまた走りたくなる

少なくとも今日ひとつ分かったのは、島ぞうりの謎は根性論じゃなく、フォームの中に隠れていそうだってこと。
次のレースは4・26岐阜清流。
あと1ヶ月半、この快感を毎日のように味わっていけばいい。
その先で、「島ぞうりミステリー」は少しずつ姿を現してくるはずである。










