2026-03-10

島ぞうりで名古屋シティマラソン。ボロボロになりながら、宝の地図を見つけた気がする。

昨日の名古屋シティマラソン、19キロ過ぎ。コースの隅で少しの間、しゃがんでいた。

「大丈夫ですか?」

そう、声をかけられた。

もちろん、全然大丈夫。むしろ、走れる喜びに満ちあふれていたくらい。

相棒の島ぞうりに不具合がないか、チェックしていただけ。

たぶん、声をかけてくれた方は、「そんなもので走っていて大丈夫なのか」と思ってくれたのだろう。

僕はこう答えた。

「むしろ、こっちの方が走りやすいんですよ。いかがですか?」

すると、その方は「いやいや」と苦笑いして、走り去っていった。

そりゃそうだ。

名古屋シティマラソンで、島ぞうりを履いて走っているヤツなんて、僕しかいなかったからね。

「あっ、ビーサン」が飛び交うレース

実際、走っている最中は、あちらこちらから「あっ、ビーサン」って声が聞こえてきた。

ランナーのみなさんから見たら、「なんかおかしなヤツがいるぞ」と気になって仕方なかったのだろう。

正直に言っておこう。

誰もやらないことに挑戦しているという、その状況そのものが、ちょっと気持ちよかった。

密かな快感ってやつである。

島ぞうりは、思った以上に快適だった

そして肝心なのは、ネタとして面白かっただけじゃないってこと。

島ぞうりでのハーフマラソンは、驚くほど快適だった。

まず、地面の感触がダイレクトに伝わってくる。

コンクリートとアスファルトの違いがはっきり分かるし、白線の上を走ると、スッと滑らかな感触になる。

その違いが走りにどう影響しているのか、正直、理屈ではまだよく分からない。

地面から入ってくる情報が多いせいか、脳が常に起きている感じがあったんだよね。

走りながら飽きることがなかった。

ずっと新鮮な気分のままで走れていたのは、かなり大きかったと思う。

それに、風が足を通り抜けていく気持ちよさもある。

シューズを履いていると、どうしても終盤は蒸れてきて、足先が暑苦しくなってくる。

島ぞうりには、それがない。

足元だけ、ずっと外のまま。

あの解放感は、かなりいい。

ごまかしの効かない走りになる

フォームの安定も印象的だった。

いつもならレース終盤になると、猫背になったり、ガニ股っぽくなったりして崩れてくる。

今回は、最後まで大きく乱れることなく走れた。

島ぞうりだと、ごまかしが効かないのだ。

特に厚底シューズだと、疲れてフォームが崩れてきても、なんとなく走れてしまうところがある。

島ぞうりは、そうはいかない。

体幹を安定させて、足をクルクルとリズミカルに回していく。そういう走り以外をしようとすると、逆に難しい。

フォームが乱れれば、そのまま疲れや痛み、ケガにつながる。

だからこそ、自然と走り方が整っていたのかもしれない。

ちゃんと完走、島ぞうりも生還

そして、ほんとうに何の問題もなく完走できた。

走り終えたあと、島ぞうりをよく見てみたけど、鼻緒にもソールにも大きなダメージはなし。

よく見ると、ほんの少しだけソールが削れたような気もするけど。

それでも、21キロを走り切った相棒としては十分すぎる働きだった。

ただし、疲労はまったく別物だった

……と、ここまで書くと、「じゃあ島ぞうり最強じゃん」という話に聞こえるかもしれない。

しかし、そんなに甘くはなかった。

ノーダメージってわけには、さすがにいかなかったね。

むしろ、疲労だけで言えば、厚底シューズの方が圧倒的に楽。

内転筋や腹筋みたいな、ランニングでよく使う筋肉がドスンと重たくなるのは想定内。

それに加えて、今まで感じたことのない疲れというか痛みがあった。

足の指が、ジンジンと熱くなっていたんだ。

たぶん、指で地面をつかむようにして走っていたからだろう。

去年は、厚底の代名詞でもあるホカのボンダイを履いて走った。

あの時は、あまりの疲れの少なさに感動した記憶がある。

それに比べると、今年はまるで別物だった。

たかが21キロ、と言いたいところだけど、その21キロでしっかりボロボロになった。

厚底と島ぞうりでは、疲労度において天と地ほどの差がある。

それを、身をもって実感した。

ツラいから楽しいかもね

じゃあ、また厚底に戻るのかって?

んなこたない。

むしろ逆。こういうのを待ってたんだよね。

足の指がジンジンする。腹筋も内転筋もズシンと重い。

いいじゃないか。それそれ、それだよ。

厚底を履いてたら、うまいこと包まれて、守られて、気づいたら無傷で帰ってこれる。もちろん、それはそれですごい。文明の勝利。クッションの正義。ホカはえらい。

僕はそんなこと全部承知で島ぞうりを履いた。

正義も文明も関係ない。こっちは、もっと怪しい道を歩いてるんだ。

痛みも疲れも、なんかこう……宝の地図みたいなんだよね。

見つけた宝の地図。探し当てるしかないね

といっても、どこに宝が埋まってるのかは全然わからない。そもそも何を掘り当てたいのかすら、まだ怪しい(笑)

そんな時に、体が「こっちだぞ」って微妙なヒントを出してくる。

いいねぇ。急に冒険っぽくなってきた。その手がかりを拾っていけば、どこかに僕だけの走り方が埋まってる気がするんだ。

それを掘り当てたら、かなりおもしろいことになる。

だったら、戻る理由がない。

島ぞうりでもっと強くなれる予感がする。予感というより、100%の確信かもしれない。

次の岐阜清流まで、島ぞうりで走り込みだな。

なんならまた「あっ、ビーサン」って言われに行くまである。

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