
人間って、ずっと同じループから抜け出せないんだなって思った。
変わりたい。去年とは違う自分でいたい。
そう思っているのに、気づけば同じ場所で、同じものを選んでいる。
今年も、グラスが増える季節が来た

毎年GWの楽しみといえば、久屋大通公園で開かれる「ベルギービール ウィークエンド」。
どんよりと曇って、今にも雨が降りだしそうな5月3日。僕は妻と2人で、ビールをたらふく楽しもうと繰り出していった。
こういうお酒のフェスって、だいたい仕組みは同じ。
受け付けでグラスとコインがセットになったスターターセットを買う。そして、コインと引き換えにお酒や料理を楽しむ。
今年もグラスをいただいた。
妻が嘆く。
「このグラス、どうしよう?」
そう。うちのキッチンの棚には、こういうフェスでゲットしたグラスがずらっと並んでいる。
耳栓を入れたり、電池を入れたりしている。もはやビールグラスというより、小物入れとして第二の人生を歩んでいる。
そして毎年、同じように悩む。
このグラス、どうしよう。
ビールを飲む前から、もうループは始まっていたのかもしれない。
1杯目は、ちゃんと初夏だった

気を取り直して、ベルギービールを楽しもう。
最初の乾杯に選んだのは日本初上陸だという「シギス・ホワイト」。
「とりあえずの白」というキャッチコピーに惹かれてのセレクトである。
妻と乾杯を交わす。
曇り空なのに、口の中だけ初夏になった。軽くて、白くて、すっと抜ける。
爽やかな季節にぴったりの、クセのない飲みやすいビール。
これは1杯目に正解のやつだ。
一気に飲み干した。
安全圏に逃げ込みがち

さて、2杯目の前にフードを選ぼう。
僕が手にしたのは、生ハムとサラミの盛り合わせ、ポテト、ナチョスである。
妻が待つテーブルに持ち帰る。
僕としては、なかなか悪くないチョイスのつもりだった。軽くつまめる。ビールにも合う。
すると妻が、静かに言った。
「これしか売ってないんだ」
いやいや、そんなことはない。いろんなフードを取り揃えているよ。
妻はさらに言った。
「あなた、本当にこれ大好きだよね」
え??
生ハムも、ポテトも、ナチョスも、別に人生の主軸に置いているわけではない。そんなに愛しているつもりはない。
とくにナチョスに関しては、「大好物です」と胸を張って言った記憶もない。
けれど、妻の言葉が妙に引っかかった。
こういうとき、ブログは便利であり、残酷である。スマホを取り出し、自分のブログを検索する。
去年と変わらぬ思考回路

そこには、逃げ場のない証拠写真のように、今年と同じナチョスが並んでいた。
あらあらあら。
同じもの食べてるじゃん。
僕は、去年の自分の思考の流れを思い出していた。
最初は、おとなしめな軽食を選びがち。いきなり重ためのやつに行くのは、ちょっとビビる。小出しに行きがちな思考が見え隠れする。
そして徐々に攻めていくつもりで、まずは無難なところに落ち着く。
その結果、ナチョスにたどり着く。
今年もまったく一緒やんか!!
あぁぁ、なんてつまらないことしてんだ。
チリソースとチーズが乗っかっていて、ビールとの相性抜群。選んで決して後悔はしないナチョス。
そのナチョスをかじりながら、僕は自分を恥じた。
いつも同じことを考えて、同じ行動をする。そこを打ち破りたくて、こんなブログを書き始めたはずなのに。
何も変わっていない。
思い切って一番高いものに挑戦してみよう

よし。
思い切って、一番高いのにいこう。僕は、ありったけのコインを握りしめた。
目指すは、牛肉のビール煮込み。
メニュー表の中で、ひときわ重たく、ひときわ大人の顔をしているやつだ。
最初から、一番高いのを頼めばいい。というか、一番食べたいと思っているものを頼めばいいのだ。
遠慮するな。ビビるな。ナチョスの安全圏から飛び出せ。
僕は牛肉のビール煮を手に入れ、ちょっとだけ勝ち誇りながらテーブルに戻った。
どうだ。
今年の僕は違うぞ。
反省するところまで同じだった

すると、妻がポツリと言った。
「あら、これ私、大好きだよ」
……ん?
その言葉で、記憶の底から何かが浮かび上がってきた。
去年も、これを食べた。
しかもたぶん、同じように「今年は攻めたぞ」みたいな顔をして。反省するところまで同じだったとは……
人間は、変わろうとした瞬間のフォームまで、去年と同じだったりする。
雨がポツリポツリと降り始めた。
そうそう、去年も途中から雨が降ったんだよね。
その後のビールは、ちょっぴり苦かった。
◆去年も同じことしてました:雨の予報でも、ビールに飛び込め!「ベルギービールウィークエンド」2025参戦記




