
時代に合わせてお酒も変わっていくんだね。
大曽根から国道19号を春日井に向けて歩く。
矢田川の手前で見えてくるのは、黒い塔のようにそびえ立つ建物。
「金虎」
1845年創業の酒蔵である。

門の前には、緑色の大きな看板がドーンと立っていて、「新酒」「初しぼり」の文字が冬の空に映えている。
普段は閉ざされていてるこの門が12月のこの時期だけ開かれている。
大曽根の冬を告げる初しぼり&にごり酒

新酒が売り出されてるんだ。
今年の目玉は12月限定の「初しぼり」と「にごり酒」。
何がすごいかって、この2つ、今年から吟醸造りに生まれ変わったという話を聞いたんだ。
金虎の初しぼりとにごり酒は、大曽根の冬を告げるお酒と言ってもいい。
こいつらがいないと「鍋の季節は始まらない」くらい、僕の中では欠かせない存在だし、大曽根の街でも毎年楽しみにしているお酒なんだ。
入り口のテーブルには、ずらりと並んだ一升瓶と720mlたち。
値札ボードを眺めながら、「あれもこれも飲みたい…」とすでに財布が危険信号を出している。
吟醸造りになったということは、金虎らしい豪快な印象だった2つのお酒が、華やかに生まれ変わったということか。
不安定な米価で吟醸造りに

吟醸造りになった理由を金虎の方に聞いてみた。
どうやら、不安定な米価が原因にあったらしい。
これまでの造りでは採算が取れず、高級感のある吟醸造りへとシフトしたとのこと。
酒蔵経営って、やっぱり米の価格にガッツリ左右されてるんだなぁと、あらためて気付かされたね。
そんな背景を聞いたうえで飲むお酒は、また味わいが変わってくる。
初しぼりと、にごり酒の2本をいただいて帰った。
まだまだ欲しいお酒はあったんだよね。でも、12月30日まで金虎内で営業しているので、買い出しはまた今度。
とりあえず、この2本をじっくり楽しむことにしよう。
初しぼりを開ける夜

さて、夜になり、初しぼりを開ける時間になった。
お酒のお供には、金虎でいただいた酒粕をたっぷり入れた鍋。
食べるのも金虎、飲むのも金虎。大曽根民にとっての贅沢と言っていい。
ラベルも味わいも“生まれ変わり”感

初しぼりのラベルを見る。
これまでのラベルは、「初しぼり」と墨書で大きく豪快に描かれていた。
吟醸造りに生まれ変わった今年は、そのラベルも一新。

西洋の獅子の紋章のような虎が両脇に描かれ、その間に「初しぼり」の文字がすっきりと収まっている。赤い虎と稲穂のデザインが、なんだか誇らしげでかっこいい。
グラスにそそぐ。透明で、液面がキラキラと輝いている。
香りを楽しんでみる。熟れた梨のような甘い香りがふわっと漂ってくる。
グビリと一口。吟醸酒らしい甘さが口いっぱいに広がる。

でも次の瞬間、金虎の野生味が顔をのぞかせる。生酒の荒々しくもフレッシュな口当たりが、ドッと押し寄せるんだ。
「う、うまい」
正直、ノックアウトされたね。
甘くやさしい声に誘われて話をしてみると、パンチのある豪快なトークをしてくる素敵な方に出会ったような気分にさせてくれた。もちろん、こんな気分は妻には内緒だけどね(笑)
酒粕鍋は“食べるダウンコート”

そして、金虎の酒粕で作った鍋。
どんどん体があったまってくるんだよね。
もしかしたら、酒粕は「食べるダウンコート」なのかも(笑)
もちろん、お酒との相性はこれ以上ないくらいバッチリ。合わないわけがない。だって、元は同じだったんだからね。
大曽根の夜は甘く、そしてグッと心に染み渡る。
今夜も美味しいお酒をありがとう!






