香りを嗅ぐだけで世界が広がるなんて、思ってもみなかった。
日本酒を「感じる」ための、初めてのテイスティング実技。 壁にぶつかり、もがき、でも確かに一歩前へ──。
感覚を研ぎ澄まし、人生をちょっとだけ変える冒険の始まりだ。
第1・第2段階クリア!いざ、実技挑戦へ
唎酒師の勉強を始めて8日目。
今日は、ついに待ちに待った実技の日。

第1段階「日本酒の基(もとい)」、第2段階「もてなしの基(もとい)」を無事クリアして、ここまで来た。
胸が高鳴る。指先が少し震える。
勉強だけじゃ味わえない、未知の世界への第一歩だ。
テイスティング開始──4種類の日本酒と向き合う

実技とは、あらかじめ届いていた勉強用のお酒をテイスティングして、香りや味わいを正確に言葉で表現する訓練。
日本酒には、テイストの異なる4つのタイプがある。その違いを五感でつかみ取り、記録していく。
それが、今日の僕の挑戦だ。
静かに4種類のお酒をグラスに注ぐ。トクトクと響く液体の音。
光を透かして見ると、それぞれ色や質感が全然違うことに気づく。
グラスを鼻先に近づけ、そっと香りを吸い込む。
香りと言葉のギャップに苦しむ

1️⃣ まずは「薫(くん)酒」。
リンゴのような、ふわりと甘酸っぱい香りが鼻腔をくすぐる。
これはわかりやすい。表現もしやすい。よし、スタートは悪くない。
2️⃣ ところが、次の「爽(そう)酒」でいきなりつまずく。
え、これ、普通のお酒の香りじゃない?
何をどう言葉にすればいいのか分からない。
お酒だからお酒っぽい香り──じゃ、ダメだよな(笑)。
3️⃣ 「醇(じゅん)酒」に至ってはさらに混乱。
酸味と甘み、奥深いまろやかさ。でも、言葉にしようとすると、ただ「おいしそうなお酒の香り」としか表現できない。
語彙、壊滅的に足りてない。
4️⃣ そして「熟(じゅく)酒」。
鼻に抜ける香りは、まるで紹興酒。
でも、別のお酒で例えるのも違う気がして、ますます迷走。
香りを言葉にするって、こんなに難しいんだな。今さらながら、思い知らされた。
感じているのに、言葉が追いつかない

つまり、僕には香りを判別するためのデータベースが圧倒的に足りていない。
これまで、意識して香りなんて嗅いでこなかったもんな。
これからは、食べるもの、飲むもの、すべての香りを嗅いで、自分の中にストックしていこう。
そんな覚悟が、ふつふつと湧いてきた。
テクスチャという新たな難関
続いてテクスチャ。
味ではなく、口に含んだときの感触を表現する練習だ。
……テクスチャ? なんだそれ?
飲み物の感触なんて、考えたことなかった。
舌の上でお酒を転がしながら、
「重厚だけど柔らかさがある……気がする?」
なんて、よく分からないままノートに書きつける。もはや感想というより願望(笑)。

はっきり言って4種類とも全て液体。「何がどう違うんだ?」と、頭の中は「???」で満たされていた。
でも、これも大切な訓練だと思った。
飲み物の感触なんて、日常で意識しない。
でも、それを感じ取れるようになったら、世界の味わい方が変わる気がする。
地味なインプットが、未来の熱狂を育てるんだ。
壁にぶつかった。でも、これが伸び代だ!
正直、今日のテイスティングは、壁に激突した気分だった。
感じてはいるのに、言葉にならない。もどかしくてたまらない。
でも、これって伸び代だよね?
今日から、お酒を飲むときは必ず──
- 見た目
- 香り
- テクスチャ
- 味わい
- 余韻
この5つを意識して、正確に言語化するクセをつけていこう。
テキストには、こう書かれていた。
「テイスティング能力は、年齢に関係なく、やればやるだけ伸びる」
なら、やるしかない。
飲むしかない(笑)。
世界の味わい方が変わる予感
唎酒師の勉強は、単なる資格取得を超えて、僕の世界の見え方を変え始めている。
今日、壁にぶつかったことすら、未来への希望に感じる。
これからの毎日は、新しい一杯に出会う旅だ。
さあ、また一歩、踏み出そう。










