
寒さが名古屋の街を包み込むこのごろ、僕は「ブルーボトルコーヒー」の前で足を止めていた。
昨春、中日ビルの1階に鳴り物入りでオープンした「コーヒー界の黒船」だ。
ずっと行列が絶えなかったその店が、なんとガラリとあいている!寒さで外に出る人が減ってるのだろう。
「ついに、ついに、ついに‥」と心臓の鼓動が早まる。
入るか、入らないか。
迷う理由なんてなかった。
「行くしかないでしょ!」そう自分に言い聞かせて、ドキドキしながらレジへ向かったんだ。
木の温もりと都会の洗練が溶け合う空間


温かみのある木のインテリアと洗練された都会的なデザイン。
さすが世界で大人気のブルーボトルコーヒーだね。
「ここ、本当に名古屋のど真ん中?」と、驚くほどの広々とした空間。
窓際のテーブルに差し込むやわらかな自然光が、店内全体を心地よく包んでいる。
カウンターにはずらりと、化学実験にでも使うようなドリップする器具が並んでいた。
通りを歩く人々の姿が遠くに感じられるほど、ここは別世界のよう。
目にするすべてが整っていてかっこいいんだよね。
田舎者の僕は、なんだか緊張しちゃってね、結局、当たりさわりのない「ブレンドコーヒー」と「チョコチップクッキー」を選んだんだ。
一杯のコーヒーが語りかける物語

やわらかな笑顔が印象的な店員さんが、コーヒー豆の産地について説明してくれた。
「この豆はですね…」とていねいに教えてくれたんだけど、申し訳ない、いつものことできれいさっぱり忘れてしまったよ。
ガラスのカップに注がれたコーヒーをそっと手に取り、まずは香りを吸い込む。
香ばしい中にもほのかに漂うベリーのような甘さ。
期待を胸に、一口飲んでみた。
その瞬間、僕の心は大空へと飛んでいた。
透明感。そして、甘酸っぱい果実のような味わいが口の中でふわりと広がる。
雑味が一切ないその味は、雲ひとつない青空のよう。
これが「コーヒーの真髄」なのかと。
さっき教えてくれたけど忘れてしまった、このコーヒーが生まれたどこかの農場に思いを馳せたんだ。
コーヒーとクッキーが奏でる完璧なハーモニー

次に手に取ったのはチョコチップクッキー。
しっとりやわらかく、手で割った瞬間にほんのり甘い香りが立ちのぼる。
一口食べてみると、ミルク感たっぷりのチョコとやさしい甘さの生地が、口の中でホロホロと溶ける。
その瞬間、僕は思った。
「このクッキー、コーヒーと完璧すぎる…!」
爽やかさが際立つコーヒーと、まろやかでやさしいクッキー。
どちらか一方でも美味しいのに、一緒に味わうとお互いを引き立てる。
一口、また一口と、気がつけばどちらもあっという間に消えていた。
次は羊羹と試してみよう

コーヒーを飲んだあと、ふと目に入ったのはブルーボトルのグッズコーナー。
そこに並ぶのは、なんと「羊羹(ようかん)」。
京都の老舗あんこ屋「都松庵(としょうあん)」とコラボした羊羹だとか。
「羊羹とコーヒー?」最初は意外な組み合わせだと思った。
でも、羊羹の後引く甘さと、このコーヒーの爽やかさを合わせたら、きっと新しい味の発見があるはず。
次に来るときは、絶対試してみようと心に決めた。
魂を揺さぶるコーヒー体験

寒波のおかげで思いがけず体験できた「ブルーボトルコーヒー」。
あの透明感、果実感、そして空間の温かさ。すべてが特別だった。
もし、あなたがまだこのコーヒーを試したことがないなら、一度足を運んでほしい。
コーヒーって、コーヒー豆のジュースなんだって実感できるはずだからね。
いつの日か、大曽根にもこの特別な空間ができてほしいなって願いながら、僕はブルーボトルコーヒーを後にした。










