
走るのが好きな人ほど、少しだけ感じたことがあるかもしれない。
「これ、結局は自分のためだけなんじゃないか」と。
健康になる。気分が晴れる。体も少し締まる。人生が前に進む。
それだけで十分すごい。
ただ、その力は街のためにも使えるんじゃないか。
パトランという言葉にビビッときた

そんなことを考えていた時、Xで気になる書き込みを見つけた。
「パトラン名古屋グループ」が大曽根駅周辺でパトランを始めたという。
パトラン?
初めて聞く言葉だった。
調べてみると「街を走ってパトロールする取り組み」らしい。街を走りながら危険箇所や異変がないかを見る。防犯の意味もあるという。
僕はその瞬間、ビビッときた。
これは、僕のためにある。
そう思った。
ランニングは、もっと社会の中心にあっていい

ランニングって、ご存知のとおり、ほとんどチート級で人生に良い影響を与えてくれる。
足が速くなる。精神的に安定する。体力がつく。体も締まる。ストレスが減るから暴飲暴食も減る。
ほとんど無料なのに、ここまで人生を変えるものって他にあるだろうか。
僕は常々思っていた。

政治経済は、もっとランニング中心に転換してもいいんじゃないかと。
健康な人が増えれば医療費は減る。ランナーが走りやすい道路は、歩行者にも自転車にもやさしくなる。ランニングステーションが増えれば、シャワーを浴びる人も増えて、街の清潔感まで上がるかもしれない。
かなり本気で思っている。
なのに現実は、酔狂なヤツらが走っているという扱い。
なぜ、こんなに素晴らしいものが社会の中心から遠い場所にあるのか。
理由はずっと前から分かっていた。
ひとりだけレベル上げをしているRPGの主人公

ランニングって、誰のためにもなってないんだよ。
勝手に走って、勝手に健康になって、勝手に気分がスッキリする。まるで、ひとりだけレベル上げをしているRPGの主人公ではないか。
それが悪いとは思わない。ただ、僕はずっと思っていた。
こんなに力のあるものなら、誰かの役に立つためにも使えるはずだと。社会に「ランニングって必要だよね」と思ってもらうには、自分のためだけに走っていてはダメだと。
そんな時に偶然、目にしたのが「パトラン名古屋グループ」の書き込みだった。
もちろん、速攻で参加申し込みをしておいた。
豪雨の写真に、変な汗が出た
翌朝、返信が来ていた。
快く迎え入れていただけるとのこと。
──のだが。
その瞬間、安心より先に、変な汗が出た。
投稿に添えられていた画像に、妙な迫力を感じたからだ。
たしか、天気はゲリラ豪雨。
普通なら「今日はやめとくか」となるレベルの雨。なのに、満面の笑みを浮かべた方と、ワイシャツ姿の方が写っていた。たしかゾネラジの方だったと思う。
豪雨の中でも笑顔。服装なんて気にしない。
この人たち、ガチ中のガチランナーなのでは?

もしかして「パトラン」って、数時間単位で街を走り回ってパトロールする世界なのか?
だとしたら、今の自分の走力では足手まといになる未来しか見えない。
やばい。
これは、本気で鍛えておかないと。僕の心に火がついた。
誰かの役に立つランナーになる

ってなわけで、翌朝から1時間ランニング。
矢田川はいつもどおり静かで気持ちよかった。
数時間走ってもへばらない体を作る。ちゃんと街をパトロールできる体を作る。
パトラン開催は6月18日20時から。
集合場所は大曽根の「喫茶はじまり」の前だという。
あと1ヶ月弱。
誰かの役に立つランナーになる。
そして、ランニングで社会を少しだけ明るくする。
僕の小さな戦いが始まった。
◆ゴミ拾いしながら走ってみました:プロギング初挑戦|大曽根の道に落ちていたのは、ゴミと昔の自分だった





