ZINEって何?大曽根商店街「さくらギャラリー」で“好き”が本になる世界を見た

2026-05-21

ギャラリーとか、ZINEとか聞くと、少し身構える。

なんだか詳しい人だけが楽しむ世界のようにも思える。

けれど、大曽根商店街には、そんな身構えをスッとほどいてくれる場所がある。

「さくらギャラリー」

桜色の鮮やかな建物に入り半地下へ降りる。そこは、芸術や文学がごったがえす小宇宙になっている。

大曽根の半地下に広がる、ZINEの小宇宙

5月20日から個人で出版する本「ZINE」の展覧会が始まっている。

その名も「OZONE ZINE -ぞねじん-」である。

だいたい初日は作家さんが在廊する。お話を聞いてみたいという思いもあって、足を伸ばしてみた。

夏のような暑さに包まれたこの日。涼しげなさくらギャラリーには、70人近い作家による100以上の作品が展示されていた。

ギャラリーの方によれば、ZINEとは「ノージャンルで、好きな人が好きなように作るもの」らしい。

なるほど。

そう言われて見渡すと、たしかにジャンルの境界線がない。

文庫本のようなものもあれば、写真集のようなものもある。絵本のようなものもあれば、作品集のようなものもある。

作家志望の人が、自分を知ってもらう営業ツールとしてZINEを作ることもあるという。

見てみれば、文庫本のようなサイズに字がぎっしりと詰め込まれた、本格的な本のような作品もあった。

「好きな人が、好きなように作る」

この自由さが、まず面白い。

小さな本に、作った人の熱が詰まっていた

その中で、ふと手に取ったのは、指でつまめるくらい小さな本だった。

ピンクの表紙に、ネコの可愛いイラストが描かれている。

その時、偶然にもその作者のErickさんが姿をあらわした。

「これ、豆本っていうんですよ」

そう教えてくれた。

可愛らしいネコの絵にまつわる裏話も聞かせてくれた。

「喫茶はじまり」の上にある猫カフェの子がモデルだとか。目つきは鋭いけれど、憎めない表情のネコの日常が、ユーモラスに描かれている。

ネコの豆本の近くには、喫茶はじまりの店長さんの作品も並んでいた。

見本をパラパラとめくってみる。そこには、喫茶はじまりの「始まり」の物語が描かれていた。

店長さんらしい熱い想いがほとばしっていて、はじまりファンの僕としては「こりゃ買わなかんでしょ」と。

店長さん、忙しい中よくこれだけ作りますよね。そのバイタリティーに、思わずのけぞってしまった。

僕が思わず唸ってしまったのは、銭湯を紹介するZINEだった。

銭湯は裸で入る場所。当然、中の写真を気軽に撮ることはできない。

その「写真を撮れない」という制約を逆手にとって、銭湯を上から見た図で描いていた。

これが、めちゃくちゃ面白い。手描きの持つ温かさやパワーが伝わってくる

俯瞰図の中に湯気のたつ浴槽の空気感まで詰まっているようで、時間を忘れて見入ってしまったね。

見るだけのつもりが、作る側の景色が見えた

ZINEというのは、出版社を通さず、個人が自由に作る小さな本のことらしい。

本を手作りするなんて、とてつもなく手間がかかるものだと思っていた。

ところが今では、アマゾンにデータを置いておけば、注文が来た時に自動で製本して、発送までしてくれるとか。

なるほどね。

誰でも作家になるチャンスはあるってことか。

ZINEは、その人のこだわりを好きなだけ詰め込める。

街のことでもいい。
猫のことでもいい。
銭湯のことでもいい。
自分が見てきたもの、好きでたまらないもの、どうしても形にしたいものを、小さな本にして置いておける。

なんだか、僕のブログとも相性が良さそうだ。

見るだけのつもりで来たのに、気づけば少しだけ「作る側」の景色を想像していた。

こういう小さな本なら、自分の好きな街のことも、走った日のことも、酒を飲んだ夜のことも、形にできるのかもしれない。

いつかは僕も、なんて思ったりしたね(笑)

大曽根に人が来る未来

気になったZINEをあれやこれやと買い込んで、ギャラリーを出た。

僕と入れ違いで、遠くからこの展覧会を目当てに大曽根へ来たという方が訪れた。

大曽根に来てくれる。

それだけで、なんだか嬉しかった。

大曽根は、通り過ぎるだけの街じゃない。

さくらギャラリーの半地下には、作った人の熱が詰まった小さな本が集まっていた。

そして、その小さな本を目当てに、誰かが大曽根へやって来る。

大曽根の未来って、面白いものが集まる場所のような気がしてきた。

◆面白いが集まる場所行きつけのお店から発見が連鎖する。大曽根商店街のさくらギャラリー「さくらポ祭り」

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