迷った末に見つけた道。地図が教えてくれた、大曽根の歩き方

2025-05-17

いよいよ地図の清書に取りかかろうとしていた。

ペンを握る手がちょっとだけ震えていたのは、緊張からじゃない。

あれ?これ…本当に、大曽根の魅力を伝えられてるのか?

完成間近の地図を前に、ふとそんな疑問が湧いた。

それはまるで、夢中で走っていたのにゴールテープが見えなくなったような、不思議な手応えのなさだった。

頭の中でグルグルと問いが巡る。

もっと分かりやすいほうがいいんじゃないか?

観光スポットって、ちゃんと載せたっけ?

そもそもこれは、誰かの心を動かす地図になっているのか?

ひとことが、地図の方角を変えた。

迷っていたとき、思い出した言葉があった。

それは、地図を置かせてもらえるようお願いしに行った、あの喫茶店の方との会話。

その方は、大曽根商店街と徳川園の歴史的なつながりについて、丁寧に語ってくれた。

その言葉が、頭の中でカチッと音を立てた気がした。

あれだ。そうだ。あれしかない。

――方針変更、決定。

地図を、徳川園周遊プランに変える。

大曽根商店街からスタートして、徳川園を巡って、歩き疲れたらまた喫茶店に帰ってくる。

そんな「ちょっと歩いて、ちょっとほっとする」ような地図を描いてみようと思った。

ひとつのテーマでまとめれば、伝えたい魅力もグッと絞り込める。

行き先が明確なら、地図もすっきりして、迷わず手に取ってもらえるはず。

思いついた瞬間、気持ちがふわっと軽くなった。

いてもたってもいられなくなって、すぐに徳川園へ向かった。

見れば見るほど、面白いじゃないか。

あらためて徳川園を歩いてみると、気づきがあふれ出してくる。

黒門の屋根の上には、ちょこんとカメの瓦。

園内の散策路の石は、人間よりでかい巨石がゴロゴロ。

周囲を囲む塀には、木の壁、しっくい、瓦と3種類があることが分かった。

3つの壁、それぞれが全然違うデザイン。なぜ、こんなにバラバラなのか探究心が湧いてきた。

ここ、ほんとに都会の真ん中なのか?

足を止めて、目を凝らして、手帳に小ネタを書きとめていく。まるで宝探しだ。

たった数百メートルの間に、ワクワクがいくつも詰まってる。

この発見を、全部、地図に詰め込みたくなった。

地図の半分は、物語のかけら。

今回の地図の構成は、半分が徳川園の“ちょっと通になれる小ネタ”

もう半分が、大曽根商店街の魅力。

その二つをつなぐのは、ウォーキングコース仕立てのストーリー。

地図を片手に歩けば、ちょっとした旅が始まるような――

そんな一枚を目指して、再スタートを切った。

やり直し? いや、これは発火点だ。

最初に作った地図も、決して無駄じゃなかった。

あれを描いたからこそ、いまの地図にたどり着けた。

描いて、悩んで、歩いて、気づいた。

それ全部が、この地図の芯になっている。

さあ、もう一度描こう。

この地図を手にした誰かが、ふらっと歩き出してくれるその日まで。

大曽根が、ちょっと楽しい街になる。

そんな未来を想像しながら、今日もまた、ペンを握る。

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