
それは、たった一本のビールのためだった。
冬の昼下がり、幻のビールと出会いたくて、僕はJR中央線の春日井駅に降り立った。
目指すは「マルマタ」。
全国の銘酒が並び、「こんな酒、どこで見つけたんだ!?」と驚かせてくれる、通好みの店だ。
そんなマルマタが、今日は「立ち呑み酒場」に変身する。
昼間から飲める幸せ。
これほど背徳感と幸福感が同居する瞬間があるだろうか?
粉雪が舞い、昼酒を楽しむ贅沢

春日井駅から歩いて10分。
冬の風はピリッと冷たい。
曇りがちな空からは、白いものがパラパラと舞い降りる。
「粉雪をながめながら、昼間のお酒は最高じゃないか」
理屈じゃない。のんびりとお酒を楽しむ。
ただ、それだけで気持ちがいい。
やがて、住宅街を抜けた先にマルマタが見えてくる。

駐車場にはすでに人が集まり、楽しげな笑い声が響いていた。
酒を片手に語らう人、キッチンカーの前で列をなす人。
立ち上る湯気と、ただよう焼き物の香ばしさ。
ここは、「お酒の楽園」だった。
マルマタ駐車場、昼の呑兵衛パラダイス!

会場には4つのブースが並んでいる。
📌 「グリルオニオン」 – 地元の洋食カフェ
📌 中華そば屋 – 〆のラーメンが人気
📌 焼き菓子屋 – 甘いものも欲しくなる
📌 マルマタの酒ブース – 本日の主役!

まずは腹ごしらえ。
寒空の下で飲むなら、温かい食べ物が必須だ。
僕は迷わずグリルオニオンの「味噌おでん」と「ポトフ」を注文した。
「味噌おでん」、昼酒の最高の相棒

この深みのある味噌ダレを見てほしい。
黒光りしたその見た目から、すでに濃厚な旨味を感じる。
箸を入れると、「プルンッ」とゆれる大根。
かじれば、中まで味噌が染み込み、ごぼうのような根菜の滋味深さが広がる。
これはもう、昼酒の最強パートナー。
ポトフは「昼のシルク毛布」だった

次にポトフ。
見た目はやさしげなスープ。しかし、スプーンを入れると…ロールキャベツが「トロっ……」と崩れる。
スープを一口。

野菜の甘みがじんわりと広がる。昼間の陽だまりに包まれるような温かさ。
これぞ、「飲むシルク毛布」。体も心もほっこりと温まり、自然と笑顔がこぼれる。
✅ 「グリルオニオン、今度食べに行こう」
幻のビール「宇宙ブルーイング」
さあ、いよいよ本命のビールだ。
クラフトビール界では伝説的な醸造所と言われる「宇宙ブルーイング」。
美味しいビールを探し求めている僕が宇宙ビールを見かけたのは、これまで二度だけ。
いわば「流通のブラックホールに飲み込まれたビール」と言っていい。
三度目に出会ったのがここマルマタだった。
「宇宙ALE」

それが、今、目の前にある。
プシュッ!!
缶を開けた瞬間、「ブワッ!!」 と南国の果実が弾けたような香りが立ち上る。
マンゴー、桃、パッションフルーツ…まるで果実の楽園。
一口。
「……!!!!!」
口いっぱいに広がる、ねっとりとした桃のようなフルーツの甘み。
だが、その後にスッと抜けるキレのある苦味。

甘すぎず、しつこすぎず、「絶妙なバランス」。
「ああ、これはやばい。飲みすぎてまうわ…!!」
昼間に最高のビールを飲める幸せをかみしめる。
春日井の実力「バタフライブルワリー」

続いて、地元・春日井のクラフトビール「バタフライブルワリー」の「ピアノ」。
しかも、このイベント限定で「生」が飲める。
香りをかぐ。
さっきの宇宙ALEとはまったく違う。
フルーツの甘さではなく、花束を抱えたようなフローラルな香り。
一口。

どこまでも続く花園に迷い込んだような奥深さ。
「おお…これは…!」さっきの宇宙ALEとまったく同じで、うめき声しか出てこない。
甘さではなく、華やかさで酔わせるビール。
「ピアノ」の名のとおり、繊細で透き通るような味わい。
まさしく「飲む芸術」だった。
伊賀の誇り「ワカエビスプラス」
最後に日本酒。
伊賀の若戎(わかえびす)酒造から放たれる渾身の一本「ワカエビスプラス」。
さすが、マルマタさんだよ。
伊賀の特別なお酒をイベントに用意しておくなんてね。伊賀酒ファンの僕のために用意してくれたのかな(笑)。

写真を見てほしい。「1801+MK3」って下に書いてあるのがわかるだろうか。これは、特別な酵母を2種類ブレンドしたって意味なんだ。
香りをかぐ。
伊賀酒らしい、野の花のような、土の香りすら感じさせる落ち着いた吟醸香。
一口。

熟した果実のような甘さが舌を包み、その後をキレのある辛さが追いかける。
もうね、さっきからずっと、言葉を失う美味さ。
これぞ「昼酒の締めにふさわしい一杯」だった。
最高の昼呑みだった。ただし、記憶は曖昧

若戎で締めるはずだったけど…
その後も、たくさんいただきました(笑)。
ビール、日本酒、またビール…
楽しかったことだけは覚えている。
気づけば、手には「宇宙ビール」のお土産をたっぷりと。

素敵な気分で春日井の街を歩きながら、ふと思う。
「最後に飲んだの、なんだったっけ?」
うん、覚えてない(笑)。
それが「いい酒だった証拠」ってことで、今日はこのへんで。




