
世界すべてのカレーが、ここのカレーになったらいいのに。
なんて思わせるくらい、美味しかったんだよね。
1週間ほど前の3月17日、栄の丸栄にオープンした「カレーのあさくま」。
あの、あさくまだよ。日本人って、お肉のおいしさを知るのは、あさくまなんじゃない?
僕も小学校の頃、たま〜に連れてってもらうあさくまでハンバーグを食べるのが楽しみだった。
しかも実は、僕は今でもあさくまが大好きだ。
「今日はガツンと肉を食いたいな」って気分の日には、ちょっと高くても尾張旭のあさくままでちょくちょく出かけている。
だから、「あさくまのカレー屋が栄にできる」と知ったときから、これはもう、すぐ行くしかないと思っていた。
間違いないでしょう。カレーだろうがなんだろうが、あさくまなら美味いに決まってる。
そんな思いで、栄に繰り出した。
列で待つ幸せ

丸栄の9階。レストランフロアに着いたのは12時半ごろ。カレーのあさくまの前には、すでに5人ほどの列ができていた。
僕もその列の後ろに並んで順番を待つ。
待っている間にも、たくさんの人がお店の前まで来ては、のれんの向こうをのぞき込んで空き具合をチェックしていた。
「申し訳ない。僕が先に並んでるんだよね」
そんなことを心の中でつぶやいて、ちょっとニヤけていた。
20分ほど待って席に通される。白いのれんをくぐって中へ。
店内は白を基調にしながら、テーブルや天井には木のぬくもりがある。中央にはコの字型の13席のカウンター、その周りを7席のテーブルが囲んでいる。どこか、おしゃれな蕎麦屋みたいな空気感。
そこに、お肉を煮込んだような甘く深い香りがふわっと漂ってくる。しかも、奥にはちゃんとスパイスの気配もある。
最初の一口で、深呼吸した

頼んだのは「あさくまスペシャルカレー」。
こういうのは、店の名前が入ってるやつが一番おすすめに決まってる。
10分ほど待って、ついにやってきた。
カレーの海の上にご飯、トマト、オニオン、ハンバーグ、目玉焼きがタワーのように連なっている。なんだろうね、ハンバーガーみたいでもあり、洋食の夢をそのまま積み上げたみたいでもある。
まずは、カレーをひと口。
「えっ、これカレーなの?」

そう思った次の瞬間、思わず深呼吸して、ひとまずスプーンを置いた。
いや、ちょっと待てと。
これは、ちゃんと味わわないといけないやつだ。カレーの美味しさに全集中したかった。
とにかく、お肉の旨みがすごい。まるでお肉を食べているような満足感がある。そこへ、フルーツや野菜を煮込んで生まれたような、奥深い甘みと出汁感が重なってくる。
辛さは控えめ。スパイスも前に出すぎない。なのに、物足りなさはまるでない。
もう、なんだろう。
カレーというより、「この世の美味しいものを全部煮込んだらこうなりました」みたいな味だった。
ハンバーグで、子どもの頃に戻る

お次はハンバーグへ。
あさくまと言ったら、やっぱりハンバーグでしょう。いや、「ステーキのあさくま」か。んなこた、どうでもいい(笑)
パクリ。
あぁ、これだよ。これこれ。
子どもの頃に夢中になった、あのハンバーグだ。
あさくまでハンバーグを食べるのは、年に1回あるかないかのお楽しみだった。
仕事で忙しかった母は、手の込んだ料理を作る時間がなかった。だから僕の中では、美味しいハンバーグ=あさくまという方程式ができあがっている。
外食が今よりずっと特別だった頃の、あのワクワク。ごちそうって、こういうものだよなって思わせてくれる味。
ギュッと詰まった肉の旨みに、何が入ってるのか分からないけれど確実に効いているスパイス。それが肉をグンと持ち上げてくる。
うまさを整える名脇役たち

ここで、ちょっと休憩だ。
オニオンとトマトでお口直し。
まずはオニオンのやわらかな甘さに癒される。そこへトマトの爽やかさが入ってきて、肉の旨みをいったんスッと整えてくれる。

さらに、テーブルに用意されているジンジャーピクルスもひと口。
甘酢で漬け込まれたジンジャーにクミンが効いている。
カレーって、味が強いぶん、食べ進めるうちにちょっと疲れることがある。そこを、このピクルスが一気に立て直してくれる。
日本カレーの最終到達地点かもしれない

皿のカレーは、もうあと少し。ラストスパートだ。
ここで、僕はこう思った。
もしかしたら、あさくまのカレーは日本カレーの最終到達地点なんじゃないかって。
なぜそう思ったのか。
それは、日本人でないと生み出せないような繊細な味わいが、ここにあるからだ。
いろんなものを煮込んで絶妙な出汁を生み出す。肉の味を引き出しながら、甘みもある。スパイスもある。けれど、何かが多すぎることもないし、何かが足りない感じもない。
全部ある。しかも、きれいに並んでいる。
その絶妙なバランスこそが、究極なんだと思う。
また行列が伸びる前に、必ず行く

あっという間に食べ終わって、お店を出た。
店の前の行列は、入ったときよりも何倍にも伸びていた。食いしん坊たちは、ちゃんと分かってるね。
お肉の味がぎっしり詰まったカレーが食べたくなったら、またここに来よう。
もっと行列ができると思うと、本当はここに書きたくなかったんだけどね(笑)





