
何かを諦めたとき、何かが見えてくる。
人生って不思議と、こうやって形作られていくんだよね。
朝7時、まずは脚と相談
朝7時、目を覚ました。まずは右脚の回復具合を確かめる。
ふくらはぎを伸ばすと、ピリピリとした感覚が走った。
「あかん、無理だ。やめておこう」
こうして、犬山ハーフ2026のDNSは決まった。
でも、僕の心は圧倒的に前向きだった。
「犬山ハーフを走らなくて、むしろ良かった」と、あとで語れる日にしてしまえばいい。
というか、「絶対にそうしてやる」。
そんな決意を胸に、二度寝した(笑)
走れないなら、描けばいい
こないだの己書の幸座(講座)で、4枚あった龍のお題が1枚も描けずに終わっていた。
筆ペンを机に置いたまま、腕組みしてただけなんだよね。
実はその後、先生から補習のお誘いがあった。1枚も描けずに幸座を終わらせるなんて、先生のプライドが許さなかったんだと思う。
僕も、犬山ハーフを走れなかった分を何かで埋め合わせたい気持ちと、こないだの龍のお題をやり直したい気持ちがないまぜになって、気合がブリブリに燃え上がっていた。
一対一の補習、ちょっと緊張

補習会場はいつもと同じ、大曽根商店街の喫茶はじまり。
先生と対面に座る。一対一の補習に、僕はちょっと緊張していた。
さっそく、龍のお題に取り掛かる。
「どう描いても龍に見えないんですよ。何かコツとかあるんですか?」
僕が打ち明けると、先生はあっさり言った。
「ツノから書いて、頭、目と上から書いてくだけですよ」
いやいや、それ簡単すぎない?
ツノ、頭、目。たったそれだけで

半信半疑のまま、先生の言うとおりに、ツノ、頭、目と書き込んでいく。
あれれ。
こないだはハゴイタの落書きにしか見えなかったのに、今回はハガキの上で小さな龍がこちらを睨んでいた。
悩みまくった前回は何だったのか。
たぶん、こういうことなんだと思う。
龍の絵って複雑そうに見えるけど、字と同じなんだ。字に書き順があるように、龍にも順番がある。そのとおりに書けば、それっぽくなる。
つまり僕は、自己流でこねくり回して、勝手に沼に入り込んでいただけだった。
沼の出口は、だいたい先生が知っている

そして、悩んだら先生に聞くこと。
先生から見れば、僕がどこでつまずいているかなんて一発で分かる。しかも解決法は、龍の描き方みたいに拍子抜けするほど簡単だったりする。
壁にぶち当たったら、すぐ聞く。
今回の幸座で学んだ、いちばん大事なことかもしれない。
先生にも“走れない日”がある

先生も実は、龍のお題が苦手だったと教えてくれた。
「可愛いものを描きたくても、次から次にゴツゴツした龍を描かされてね」
なんて笑っていた。
だからなのかな。僕がうまく描けない理由も、沼からの脱出方法も、先生はよく分かっていたんだと思う。
4枚のお題はスイスイと終わった。
お題を描き終えると、先生は最初、師範になるのをためらっていたことや、幸座の運営でいろんな難しさを抱えていることも話してくれた。
教える側にも、“走れない日”みたいなものがあるのかも。
そう思ったら、先生の言葉が前よりずっと深く入ってきた。
犬山に届くほど、龍を描けばいい

最後に先生はこう言ってくれた。
「マラソン大会に出られなかったのは、龍を描けっていうことだったんですよ」
先生、いいこと言ってくれました。
走れなかった犬山ハーフの代わりに、今日は龍を描けた。
これはたぶん、龍を描いて描いて描きまくれっていう何かの意思なんだと思う。犬山に届くくらいにね。










