
ソースが焦げる香りに、足が止まった──。
大曽根商店街の中ほど、森下寄り。そこに静かに構えるのが、お好み焼処「まつ葉」だ。

昭和の空気をぎゅっと閉じ込めたようなたたずまい。
僕が大曽根に越してきた2002年には、すでに老舗の風格をただよわせていた。
たぶん、あの頃の商店街の熱気を今も覚えている数少ないお店なんだと思う。
■ ソースの香ばしさに吸い寄せられて
食欲を誘うソースの香ばしい香りが、店先までただよってくる。
その匂いをかいでしまったら、もうダメだ。走ってた足がピタリと止まる。

暖簾をくぐって中に入ると──
そこには、まるで時が止まったような昭和の空間が広がっていた。

カウンター6席、テーブル3卓、お座敷が2つ。
この日は12時半過ぎ、カウンター以外はすべて埋まっていた。
みんな知ってるんだ、この店のうまさを。
■ すべてがおすすめ。そんなのずるい!
ぎっしりと並ぶメニューを前に、何を選んでいいか迷う。
「おすすめは何ですか?」って聞いてみた。
おばあちゃんがにっこり笑って言う。
「おすすめ?…全部おすすめだよ!」
……それ言われたら、もう決められないじゃないか(笑)

しかもこの日はランニング中。
持ち合わせは現金1,000円ポッキリ。
豪華に全部のせ「ミックス玉」といきたかったが、ちょっとオーバー…。
泣く泣く「ブタ玉」に決定。
内心では、「ちょっと多めに現金持ってこいよ!」と自分を叱りつけていた。
■ 鉄板の音と香りで、五感が沸き立つ

やがて、鉄板の上から「ジュ〜ッ」と響くあの音。
ソースの焦げた香り。
カツオブシがふわっと踊り出す。

その一口目は、もう──ランニング中の空腹には反則だった。
- フルーティーで濃厚なソース
- カツオブシと青のりの香り
- ふわっと焼かれた生地に、キャベツの甘み
- 紅ショウガのピリッとしたアクセント
- カリカリに焼かれた豚肉がまるで、あぶりベーコン

正直、ミックス玉じゃなくても十分にうまい。
ブタ玉でこれなら、ミックス玉はどうなっちゃうんだ…。
■ 愛され続けるには、理由がある
次から次へとお客さんが入ってくる。
仕事の合間に食べに来る人。
家族連れ。
昼飲みを楽しむご年配の方も。

みんなが、それぞれの「まつ葉時間」を楽しんでいた。
忙しそうに動き回るお店の方。
その姿を見て、「ああ、やっぱり地元に愛されてるお店だな」としみじみ思った。
■ また、あの香りに誘われて

食べ終えた皿の上には、
ちょっと名残惜しそうなソースの跡。
「まつ葉」のお好み焼きは、どこか懐かしくて、あったかくて、
そして……またすぐに食べたくなる味だった。

次はもうちょっと財布に余裕を持って、あの全部のせをリベンジしに行こう。
「ごちそうさまでした」また寄らせてもらいます!





