二十数年ビビっていた大曽根駅前「みのや北村」の角打ちは、酒好きのパラダイスだった

気になっているのに、なぜか入れない店がある。

大曽根駅すぐ目の前にある老舗の酒屋さん。

みのや北村酒店。

パッと見は、お酒を売っている普通の酒屋さんに見える。でも中に入ると、そこにはちょっと違う世界が広がっている。

角打ちである。

つまり、酒屋さんの中でそのままお酒を飲める場所。昼間っから立ち飲みできる、大人の世界だ。

二十数年、気になっていた角打ち

みのや北村が角打ちのお店であることは、大曽根に引っ越してきた2002年の時から知っていた。

二十数年の間、僕はここでお酒を飲んでみたかった。何度もみのやには足を運んで、お酒を買ったこともある。

でも、角打ちだけはできなかった。

昼から酒屋で飲んでるって、そうとうワルじゃない?

仕事もせずに飲んでるって、ダメ人間まっしぐらじゃない?

ってね。

でも、よく考えてみると、それって完全にいつもの僕だよね(笑)

おっと、ここで一つだけ言っておきたい。あちこちのお店で昼から飲んではいる。人生初の昼飲みではない。角打ちのお店で飲むのが初挑戦ってことでよろしくね。

もういいか。

二十数年も店の前で気にしていたなら、一回くらい中で飲んでみてもいい。

ってなわけで、人生初の角打ちに挑戦してみることにした。

いざ、みのやの奥へ

駅前の人通りの多いお店の前に立つ。

ちょっと緊張した。

お店に入ると、酒がずらっと並んでいる。店内ではラジオのまったりとしたトークが流れていて、昼下がりの気だるさを醸し出していた。

角打ちのスペースは店内の奥。簡素なカウンターがある。

お店の方に、角打ちのやり方を聞いてみた。

オープン冷蔵庫にある瓶をレジに持っていくと、グラスに注いでくれる。その時にお金を払えばいいとのこと。

なんだ。

思っていたより、ずっと普通だった。

常連だけが知っている秘密の作法があるわけでもない。いきなり怒られるわけでもない。聞けばちゃんと教えてくれる。

この時点で、二十数年ぶんの勝手なビビりが少し溶けた。

1杯目で、敷居が下がった

よし、選んでみよう。

手に取ったのは、「鳴海」と書いて「なるか」と読むお酒。

グラスに注いでもらうと、薄い黄金色をしていた。

香りを嗅ぐ。

爽やかな柑橘系。

グイッと一口。

えっ?これ、日本酒?シードルでしょ?

フルーツのような酸味がきて、シュワッと炭酸の爽快さが広がる。ふくよかな甘みのあとに、日本酒の旨みがくる。

これは飲みやすい。

お店の方に話を聞いてみると、「飲みやすい日本酒の開発が進んでるんですよ」とのことだった。

たしかに、これなら日本酒が苦手な僕の妻も喜んでくれるに違いない。

1杯目で分かった。

角打ちは、思っていたほど敷居の高い場所ではなかった。

もちろん、初めての店に入る緊張はある。昼から酒屋で飲む背徳感もある。でも、実際に中に入ってみれば、女将さんはやさしく教えてくれるし、注文の仕方も難しくない。

勝手に怖がっていただけだった。

2杯目で、パラダイスだと気づいた

さて。

安心したら、もう一杯いきたくなる。

2杯目に選んだのは「残草蓬莱」

蓬莱と聞くと、奥三河の蓬莱泉か、岐阜の蓬莱を思い出す。でも、このお酒は千葉のお酒だった。

お店の方によると、「蓬莱は政宗みたいに、日本全国で美味しいお酒の代名詞になっているんですよ」とのこと。

さすが、酒は酒屋に聞くに限る。ひとつ勉強になりました。

グイッと飲む。

あれ、もしかしてレモン?

酸がきれいで、飲んだ瞬間に口の中が明るくなる。「残草」という名前のせいか、青い草の匂いまで勝手に想像してしまう。

ずっと飲んでいたい爽やかさだ。

ちょっと待て。

これ、飲んだことがあるような?

瓶のラベルを見てみると、「白麹」とあった。

金虎のKOTORAと一緒だった。

KOTORAを飲んだときに感じた、あの初夏っぽい爽快さに近い。あいつの仲間がここにもいたんだなって思わずニヤリである。

ここで気づいた。

みのや北村の角打ちは、ただ昼から飲める場所ではなかった。

酒屋さんの冷蔵庫から、気になる瓶を自分で選ぶ。グラスで少しずつ飲める。知らないお酒に出会える。分からないことは聞ける。

これ、やばくない?

こだわりの酒を自由に選んで飲めるパラダイスじゃないか。

大曽根駅前に、こんな午後があった

最初は「昼から酒屋で立ち飲みするなんて、なんだかワルい世界だ」と思っていた。

でも1杯飲んでみたら、そんなに怖い場所ではないことが分かった。

2杯目を飲んだら、ここは酒好きにとってかなり楽しい場所だと分かった。

その後も、たっぷりと飲んだ。

二十数年、勝手に敷居を高くしていたのが、ちょっともったいない。

思い切って中に入ってみれば、女将さんはやさしく話してくれる。お酒はこだわりの瓶が並んでいる。飲めば、ちゃんと発見がある。

角打ちという文化が廃れず、大曽根に残っている理由が少し分かった気がした。

大曽根には、お酒の文化がある。

駅前の酒屋さんの奥に、こんな午後があった。

みのや北村の角打ち。

大曽根のパラダイスに、また飲みに行こう。

◆お昼にビールを飲むなら大曽根商店街に集合だ!「KENZOさんに会いたい」──土曜の午後はブリューパブ大曽根で昼飲み探検

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